ブラジルで相続手続きを行うための委任状を日本で公正証書にできるか?

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ご相談内容

日本にお住いのブラジル出身の方からのご相談です。

ブラジルの親が亡くなったため、ブラジル国内にある親名義の不動産などの相続手続きが必要となりました。

ご依頼人様は、日本にいるため、ブラジル国内で相続手続きを行うための代理人を立てて相続手続きを進めることにしていました。

ブラジルで使う委任状の手続きの方法

ブラジル国内で使う委任状なので、ポルトガル語である必要があります。

これまで、当事務所でお手伝いした多くの場合は、実際に委任状を使うブラジル側で作成したポルトガル語の委任状を、日本の公証役場で私文書(委任状)の「私署証明」の認証を受ける方法で、ブラジル側で提出することができていました。

公証役場で行う「私署証明」は、公証人の面前で行った署名の真正を、公証人が本人のものであると証明するものです。そこに、東京の公証役場であれば、ワンストップサービスとして外務省のアポスティーユまで同時に付けてもらうことができます。

委任状の内容がポルトガル語で、公証役場の私署証明やアポスティーユも英語で記載されているため、大抵は、公証役場でアポスティーユまで受けた段階で、ブラジルで使うことができます。

この場合、公証人はあくまでも、署名の真正を証明するもので、委任状の内容まで本人が行ったものだとは証明しません。

ブラジルから公正証書での委任状を指定される

今回、ブラジル側から、委任状を公正証書にしてほしい、と依頼がありました。

ブラジルに提出する書面を日本の公証役場で公正証書にする・・・

さて、どこから検討をしましょうか。そんなノウハウが載っているものがありません。

検討事項① 公正証書の言語はどうするか?

そこで、今回の一つ目の検討事項が、日本の公証役場で作成する公正証書は日本語のみ、という点です。最終的に、ブラジルで使われる委任状の公正証書はポルトガル語でなければなりません。

そこで、ブラジルが指定するポルトガル語での委任状の内容をブラジル側で日本語に翻訳してもらうことにしました。

日本語に翻訳した委任状の内容を、日本の公証役場で公正証書にしてもらい、その後、再度ブラジル側で公証翻訳人にポルトガル語にしてもらう方法です。

検討事項② 日本の公証役場で公正証書にできるか?

もう一点、検討しなければならないのが、日本の公証役場でブラジルに提出する委任状を公正証書にしてもらえるか?という点です。

この点、都内のいくつかの公証役場に相談をしました。どの公証人も、まずは検討が必要ということで、私の方で仮に翻訳をした委任状の日本語訳を送って、検討いただきました。

結果、とある公証役場で、引き受けていただくことになりました。

公正証書を作成する

この方法でできる!そうと決まったら、公証役場にブラジル側で指定した委任状の内容を、ブラジルで和訳した内容を送り、細かい点を都度、電話などで確認しながら、進めました。

公証人が作成した公正証書のタイトルは、当初、「代理権授与公正証書」でしたが、ブラジル側のリクエストで、「委任状公正証書」としてほしい、とありました。

公証人にその点、相談したところ、最終的に「委任状(代理権授与)公正証書」としていただきました。

公証役場には、外国に提出する公正証書ということを検討しながら、柔軟に対応をしていただき、本当にありがたかったです。

当日、日本語の難しい読み書きが難しい依頼者のために、公証人が公正証書にする文書を読み上げ、無事に公正証書の正本をいただくことができました。

アポスティーユを受けるには

さて。公正証書の正本を受け取りましたが、まだ手続きは残っています。

外務省のアポスティーユを受けた後、ブラジル側の公証翻訳人にポルトガル語にもどす翻訳をしてもらうことです。

都内の公証役場では、私文書の私署認証であれば、その場で外務省のアポスティーユをしてもらうことができますが、公証役場で作成した公正証書は、それができないとのことでした。

法務局で公証人押印証明をしてもらった後、外務省でアポスティーユを受ける流れとなります。

ただ、後は、この手続きを踏めばよく、ブラジル側でのポルトガル語訳も依頼をすればよいだけ。

なので、公証役場での公正証書の作成が終わった時点で、公正証書が完成したも同然、ほっとしました。

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