スペイン人の子孫が今、スペイン国籍を取得できる!?


ブラジルは移民国家

ご存じのようにブラジルは移民国家です。

原住民がいて混血も進んでいますが、今、ブラジル国民の大半を占めるのがヨーロッパやアフリカからの移民です。特にポルトガルやスペイン、イタリアが多いですね。

全体の中では少数ですが日本からの移民も存在感がある、と思います。


ブラジルで生まれた人の国籍

ブラジルは生地主義と言って、そこで生まれた人はブラジル国籍が取得できるので、移民した人たちの子らのほとんどがブラジル国籍となりました。

ブラジル人の多くはルーツをたどると、いろんな国のご先祖様がいることがとても多いです。


スペインで施行された法律

そして本題です。

先日、とあることでご相談を受けたお客様は、ブラジルで生まれ育った方ですが、日本国籍の父を持ち、母方の祖父母がスペイン出身とのことでした。

そしで、2022年10月に施行されたスペインの法律 Democratic Memory Law によってスペイン国籍の申請をしたいということでした。

日本側の書類が必要となりサポートをすることになりましたが、このスペインの法律を初めて知り、少し調べてみました。

政治のことは詳しくなくて上手く説明できないので、この法律が成立した経緯はWikipediaをご覧ください!

(英語です)https://en.wikipedia.org/wiki/Democratic_Memory_Law

ざっくり言うとたぶん・・・

スペインで長期独裁を敷いたフランシスコ・フランコが亡くなる1975年以降に民主化が進みましたが、この法律の目的としたら、政治的意見、イデオロギー、信念を理由にスペインを離れたスペイン国籍者の子孫としてスペイン国籍の取得を承認するというものだそうです。


2つ以上の国籍を持つことになる

え?ブラジル国籍があるのに?と思う方もいるかもしれません。

日本は原則、2つ以上の国籍を持つことを認めていません。

ですが、ブラジルは2つ以上の国籍も持つことができます。なので、特にヨーロッパ出身の祖先をもつブラジル人は、ブラジル国籍ともう一つ持っていることは珍しくありません。

今回のお客さんのケースでは、父親が日本国籍ですが、ブラジルで生まれて日本領事館に出生届と国籍の留保をしていないため、ブラジル国籍のみだったところ、母方の祖父母がスペイン国籍だったことで申請をしたらスペイン国籍を取得できることとなりました。

この法律でスペイン国籍が取得できるのは、2024年10月までにスペインの在外公館に申請した場合なのでタイムリミットがあります。


どのような人がスペイン国籍を取得できるのか?

スペインの外務省のHPにポルトガル語で今回の法律について説明があります。

Lei de Memória Democrática

ここに説明されている国籍取得者は以下の3つのケースです。

  1. スペイン人の父または母、祖父、祖父母を持つスペインの国外で生まれた子や孫
  2. 1978年施行の憲法より以前に外国人と結婚したことによって国籍を失ったスペイン人女性の海外で生まれた子
  3. この法律によってスペイン国籍を取得した人の成人となっている子 
なんとも分かりにくいかもしれませんが、要は、スペイン人の子や孫、ということなんだと思います!

日本、そしてブラジルで必要な手続きは?

日本の戸籍を海外の機関に提出する際、この書類が日本で公的に発行された本物だよ、ということを証明するために、日本の外務省でアポスティーユを取る手続きがあります。
本物だと証明できたところで戸籍は日本語のままです。
ブラジルにあるスペイン領事館に提出するために、ブラジル国内で公証翻訳人 (Tradutor Juramentado)にポルトガル語またはスペイン語に翻訳してようやく提出できる形となります。

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